▲ [column] 単純明快1秒で見抜けるつんく♂の戦略 / 2002.6.10
イタイ。とにかく最近の娘。ひいてはハロプロ全体がどうもイタイ。

そういった思いが私の中で強くなった遠因は、娘。の低年齢化である。しかしこれはまだ許せた。そもそも私自身興味があるのは、なっちをはじめとする年上グループであり、加護・辻等の年少グループにはこれといって興味がないからだ。だが、娘。に提供する楽曲にまでこの低年齢化つまりはロリコン化が浸透してきたとなれば話は別だ。後藤真希が「手を握って歩きたい」にて、まるで子供を引き連れたNHKのお姉さんのようなイメージ感たっぷりの歌を唄ったうえ、この夏発売されるシャッフルユニットの曲も、楽曲解説を見ている分にはどうも子供向けソングであるといった疑惑は拭いきれない。

つんく♂は一体何を考えているのか?

そもそも、娘。は発足時、10代後半から20代にかけてを対象としたアイドルグループだった。年をおうごとに少しずつ対象とする年齢が下がってきたものの、たいていのヲタは娘。から離れることはなかった。むしろそれに順応するようになった。当然だ、それがヲタなのだから。しかし、つんく♂はそれをいい事に、さらに子供にへと目を向け始めた。

いまから20代、30代のファン層を増やすことははっきり言って困難だ。さらには10代後半のファン層に厚みを増すことも非常に困難である。そもそも、10代後半といえばたいていの人間が最新ヒットチャートの曲ばかりを聴いていたり、洋楽などにはまったりしては日夜自分にあった音楽を捜し求めている世代だ。アイドルである娘。に目を向けさせるには、娘。にもつんく♂にも相当なエネルギーが必要となる。はっきり言ってこれは賢い戦略とはいえない。かなりのエネルギーを消耗してしまい、下手するとそのエネルギー消耗の果てには娘。解散が待っている。当然プロデューサーであるつんく♂が音をあげた時点で娘。は終わりなのだから。しかし、10代前半は未だどこにもつかずであることが普通で、ターゲットとするには最高の対象である。この世代の客層を増やすということは、楽であり且つ経済的な売り上げ効果を期待できるというわけだ。

全く以って悲しいぐらいの単純発想であることは言うまでもない。

つんく♂は子供を虜にさせるということに、ある種の自信のようなものを持っている。
私が「苦悩するつんく♂」でも触れたように、ミニモニ。大ブレークはつんく♂の有頂天ぶりを明確に表したものだ。これで気を良くしたつんく♂は、子供のハートをがっちりキャッチすることに並々ならぬ自信を持った。いや、私的には持ってしまったといったほうが正しい。その結果が、こういったハロプロ全体のロリコン化といった、あまりにも許し難い現象を生み出してしまった。

悲しいかな、つんく♂は苦悩の末に思考回路がショートしてしまったらしい。娘。存続の意義を完全に見失ってしまっている。ロリと化した娘。なぞ何になる。そこまでして娘。にこだわる必要はないだろう。本気で子供向けアイドルを作りたいのなら、新たにグループを作ることをお勧めするぜ、つんく♂さんよ。

しかし、このつんく♂の単純な発想が失敗に終わるのは明白である。というのも、消費者側に向けてあえてレベルを下げるということは、実は逆効果となってしまっていることに彼自身気がついていないからだ。

ミニモニ。は発足時、特別子供向けのグループといったわけではなかった。たまたまふたを開けてみれば子供の食いつきが意外とよかったというだけである。その後、子供が喜びそうであろう楽曲を提供したが反響はそれほどでもなかった。売り上げはもちろん、ランキングにまでモロにミニモニ。人気の衰えが伺える。

なぜか?子供向けに作った方が一見ウケはよさそうだろう。しかし、実際それは違う。狙った消費者層に向けて最初からレベルを下げることは無意味なことであり、あらかじめ消費者に向けてレベルを落とさないほうが、当然消費者側にはウケるのだ。

これはつまり娘。を低年齢化しないほうが、逆に子供が食いつくことを計算できるということ。その裏づけとして、大人っぽさを売りにして男性をターゲットにしていたはずの後藤真希が、意外と子供に人気があるということが上げられる。それは、ピンクレディーが完全男性向けセクシーアイドルとして売り出したにもかかわらず、実際デビューして食いついたのは子供のほうであったということでも実証済みである。

この様に製作者側と消費者側の間にはどうにも計算できないギャップが存在し、こんなことにすら気づくことのできないつんく♂は、プロデューサーとして終焉を迎えつつある証拠である。

私にとっては、こんな形で娘。をはじめハロプロが崩壊してしまうことが無念でならない。しかし、この子供向けリリースがいつまでも続くようならば、ハロプロ崩壊が現実性を帯びることは間違いないだろう。

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