▲ [column] 続・ハロプロ構造改革に隠された真意 / 2002.8.4
前回のコラムの追記として補足的な内容をここに示す。

後藤真希、保田圭の卒業は今回の改革にとってはほんの些細なことに過ぎない。話題的には一番大きいことは確かだが、前回の中澤の卒業と同程度と考えてよく、むしろ今回の改革において最も重要で、かつ最も大きな意味を持っているのが各ユニットの再編成の方なのだ。

今回の編成が、メンバーの3人のうちの2人も抜ける結果となったプッチモニにおける補強、編成のみであったならば、恐らく私も前回のコラムのような結論には至らなかっただろう。しかし、同時に行われたタンポポ、ミニモニ。の再編成が、どうしても私にあのような結論を出させる要因となった。

ここで一番重要なのは、恐らくハロプロメンバーの誰よりも、つんく♂自身の「ハロプロの存続」という思いは強いということである。つんく♂にとってハロプロはそれほど重要であり、ともすれば崩壊してしまうであろうリスクを負った改革などを行うはずはないのだ。

今回の再編成の表面的戦略は第5期メンバーのフィーチャリングであることは前回のコラムで述べた通りである。このメンバーは近い将来娘。の、そしてハロプロ全体の中心メンバーとして活動していくものと位置付けられている人材だ。そしてこのフィーチャリングの主たる目的が、今後のハロプロを支えていくであろう第5期メンバーのキャラを確立させることであることは言うまでもない。

しかし、何だかんだ言ってデビューして一年も経った5期メンバーは、ヲタの中ではもうすでにキャラ・イメージが確立されているというのが現状である。その最たるものが新垣であり、彼女は娘。加入当初からコネ餓鬼としてヲタの間ではバッシングの対象とされてきた。

今更フィーチャリングしたところで、この新垣に対するヲタどもの思いがそう簡単に変わるわけがない。タンポポファンであったヲタどもが、新垣のタンポポ加入といった事実を知って、新垣を応援するようになるということを期待する以上に、新垣を心の底から拒絶し否定し、湧き出る嫌悪感から更なるバッシングばかりを生むであろうことは自明であり、誰もが容易に想像できるわかりきった結果である。

この結果ばかりに捕らわれると、今回の再編成は明らかなるミスであり、単なるつんく♂の横暴であると思うのも無理はない。
某サイトでは、「つんく♂はもう娘。を終わらせたいんじゃないのかと思う」といった意見も聞いた。

しかし残念ながらそれは間違えているのだ。

つんく♂は娘。やハロプロの存続にこだわっているばかりか、更なる飛躍をも目論んでいる。言わばハロプロは、自分の大好きな音楽業に携わることが出来る最後の砦であり、それ故、つんく♂にとってのハロプロとは自分の音楽人生という観点からも重要で、絶対になくしてはいけない大事なものなのだ。

そこまで強い思いを持った人間のとった行動が、何の対策もない単なる横暴であろうはずがない。

ネット上におけるどの批判的な意見も、所詮は自分自身の高ぶった感情から出てくる思いを書きなぐったようなものばかりである。これはまさしくヲタとして、ヲタからみた観点であり、それ故これらの批判的意見は、ファンの総意として事務所およびつんく♂Pを脅かすのに必要なだけのエネルギーを有していない。その理由が、まさしくここ1ヶ月程ずっと私が懸念してきたことでもあった「ハロプロ完全子供向けアイドルへの転換」であり、これこそが今回の構造改革の隠された真意なのだ。

今までの娘。としては至極当然であった、熱狂的なヲタがいるアイドルグループという構想は、もうすでに終わりを告げている。少なくともつんく♂の中では確実に。そして、消費者層のターゲットを「ヲタ」から「子供」へと変換するだけで、今回の改革は恐ろしいほどにまで大成功する可能性を秘めた改革に変貌するのだ。

何度も言うようだが、子供達には新垣らに対する固定イメージはない。タンポポの一員として可愛らしい衣装、可愛らしい振り付けで歌い踊れば、子供達の間で大ブレークするだけの可能性を、新垣ですら持っているのだ。そう考えると、一見すると失敗とも思えるこの改革が、成功するだけの要素を多分に含んだ改革であることは誰の目にも明らかだ。

つんく♂や事務所はメンバーの気持ちを考えているのか!といった怒りの言葉も聞く。はっきり言って考えていないだろう。ファンの気持ちも考えない人間が、メンバーの気持ちなど考えるものか。正式に発表されたコメントや、記者会見会場における発言などは、所詮は公の場に発表するために用意された体のいいコメントに過ぎない。あんなものは嘘っぱちだ。

そもそも、メンバーの気持ちなどを考えているならば、卒業という名の辞任勧告などするはずがない。いや、勧告ならばまだマシ。実際には一方的な告知だったのだろう。

所詮アイドルとはそんなものだ。特にここ数年プロデューサーという人間が注目され、あまりに強い力を持つようになり過ぎた。制作する側とされる側との格差は開く一方。特に弱年者が寄り集まった集団であるハロプロメンバーに、事務所、つんく♂と対等に話し合う場など与えられるはずもない。だから、素で驚き、素で泣く。我々が告知を聞いて驚き絶望したのと同様に、メンバーも驚き絶望したのだ。ただ単に、我々よりも数日ほど早くこれらの事実を告知されたというだけだ。それだけの違いしかない。彼女らは紛れもなく今回の当事者なのにも拘わらずだ。

私は今回のこの改革に対する自分自身の出した結論には、大いなる自信を持っている。確信している。ここ数ヶ月のつんく♂のやり方は、全てはこの「ハロプロ完全子供向けアイドルへの転換」に確実に収束される。今回の改革はただの話題づくり、思いつきで行った横暴なんてものではなく、何ヶ月も前から考えられてきた一大プロジェクトであり、そんなちんけなものではないのだ。それ故に、もうどうあがいても無駄といった絶望を通り越した開き直りのようなものが、今現在の私にはある。

ただ、個人的には突然解散宣言をしたほうがよっぽど良かった気がする。本質的に娘。が娘。ではなくなってしまう以上は、改革だろうが、解散だろうが行き着く結果は同じだ。そうすれば、「Do it! Now」が、ハロプロ最後のミリオンヒットとなったのは間違いなかっただろうに。


最後に「Do it! Now」から。

覚悟するのは簡単だった 夢がそこにあったから

メンバーの気持ちを踏みにじってまで掴もうとしているつんく♂の夢。
彼の現在の気持ちを表現していると思わせるこのフレーズを、娘。本人が歌い、代弁しているというのがあまりにも痛々しく感じて止まない。

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