▲ [column] 「娘。原点回帰」という言葉の本質 / 2003.2.23
娘。の「さくら組」「おとめ組」の分割は、表向きには原点回帰、精神論的な立場から考えると初心に返るということが、公式に発表されていることではあるが、おそらくこの原点回帰ということは娘。達本人よりもむしろプロデューサーのつんくが自分自身に抱いている理念によるところが大きいと思われる。
そしてもちろんこの他に、この分割に対して事務所側の画策として考えられうることが、分割することによる娘。から得られるマージンの単純水増しである。

分割して2組に分かれたところで、1組から得られるマージンが純粋に半分になるということは考えにくく、むしろ娘。自体の規模を縮小させたことでプロモーションにかかる費用を削減し、尚且つ1組だったころとさして変わらぬ利益を、今度は2組から徴収することができるのだ。
事務所にとってこれほどおいしい措置はない。
規模だけが大きくなり、売上利益が落ちてしまった娘。を再び有力な金づるとして利用するにはこの分割という方法が最良かつ最終の手段であったわけだ。

「ファンのことを考えて」「もっと娘。とファンが近くで接することができるように」などという、なんとも体のいいことを謳い、ともすれば「初心に返る」という言葉から非常に前向きな措置をとっているように思われがちだが、そんなことがあるはずもなく、揶揄すればこれは前向きに坂を転げ落ちているようなもの。

「終幕」という二文字が、言葉に出すのも躊躇われるくらい現実性を帯びてきているため、私とて、もはや多くは語りたくないというのが本音だが、ただ言えることは、今回のこの分割措置は娘。存続の「最終手段」であったということ。苦し紛れの「新ユニット結成」という措置以外はもはや何も残ってはいない。もう全てやり尽くしたのだ。

さて、今回のこの分割騒動に関する完全なる否定意見を目にすることはあまりなかった。分割するぐらいなら最初から増員するなという否定意見は目にしたが、これは増員に対する否定であり、今回の話とは根本的に否定している部分が違う。
それよりもむしろ遠くなってしまった娘。が近い存在になることはうれしいという意見すら目にすることもあった。

実は私にとってはこの感覚は不可解極まりなかった。
私にとってタレントとは、特別で手の届かない大きな存在でいるからこそ価値があるのであり、誰にでも手の届く近い存在などタレントとして不相応甚だしい。
何故、見方によっては安売りと思われてしまうほどコストダウンされる娘。達をこうも支持するのか?私には理解できなかったのだ。

だがしかし、実際に事務所側の表面的な戦略に乗っかったファンがここまで多かったのだから、このことは完全に否定することはできないのだろう。
もしかしたら、このように意見するファンは、今まで遠かった存在であった娘。がこれからは近くなれるからこそ、うれしいという感覚なのかもしれないし、これはある意味においては私の抱く感情と近からずも遠くはないと言うことはできる。

そう思った。そう思っていた。

だからこそ私は、特に分割について今まで触れることはなかった。自分自身で無理矢理納得したからだ。

だが、そんな私の思い、納得は音を立てて崩れた。
それは、彼ら事務所側の言うところの「観客と近い所で」という売り出し戦略の本質が、今日のハロモニ。で明らかになり、その蔑むべき軽率な戦略に大いなる絶望感を抱いたからだ。

あんな痛々しい水着姿、ブルマ姿を収録されたDVDと、公式サイトで閲覧できる引きつりながらの笑顔の「握手会に来て下さい」のストリーミング映像。これが彼らの考える「原点回帰」ということなのだと言う。
はっきり言って笑い話にもならない。前述の通り、「原点回帰」はつんくの自分自身のスタンスに対する理念であって然るべきで、このような行為が原点回帰と言えるはずも無い。

もし、彼女たちがグラビアアイドルになろうと思っている子達ならば私とて何も文句はない。しかしこれは甚だ見当違いもいいところな上、この行為に彼女達の意思など全く反映されていないのは明白。これは明らかに嫌々やらされているだけ。ストリーミング映像に関しても。少なくとも見ている側にはそうとしか思えなかった。

ここが一番問題なのだ。
もしかしたらストリーミング映像はただ単に緊張しているだけかもしれないし、当然私は水着姿、ブルマ姿を否定しているわけでもない。水着姿もブルマ姿も、彼女達が望んでやっていることであるならば何も問題は無いのだ。しかし、ここに彼女たちの意思が反映されているとは到底思えず、これこそが一番問題なのである。

何を考えているのか。彼らはこの行為が社会的にも軽蔑される行為だということに気づいていないのか。
日曜の昼間からあのような映像を流すなど言語道断だ。社会的な常識まで失ってしまっている彼らには、正常な感覚などもはや無いに等しい。
娘。がこれからどうなるのか。正直その行く末を案じずにはいられない。


【編集後記】
後半部分はただの低俗な感情論に成り下がってしまったが、やはり書かざるを得なかったというのが正直なところだ。
この行為に対して、言葉も出ないと言うのはまさにこのことなのだろう。恐らくあの映像を見ることは私自身もう二度とないのだろうが、あの痛々しい情景が今も目に浮かぶ。

もはや、これだけが最後の望みだ。
これが事務所側の低級戦略であり、つんく戦略の一環ではないということ。これだけを強く望む。つんく自身がここまで腐ってしまったら、娘。達に未来などあるはずも無いのだから。

最後に一言。私は握手会に行くなとも、DVDも買うなとも言わない。むしろ彼女たちのためにも行ってあげてほしい。
ただ、軽い気持ちで「さゆみんブルマ萌え〜」などといった言葉を口走る輩は、事務所と全く同じ外道畜生であるということを肝に銘じてもらいたい。

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