▲ [column] 辻加護卒業という伏線 / 2004.1.14
新年早々、「辻加護モーニング娘。卒業」というニュースが日本中を駆け巡った。誰にとってもそれはあまりにも突然の出来事であり衝撃であった。

今回のこの措置に至ることとなったその全ての元凶は、つんく♂自身が以前に唐突に口にした「モーニング娘。は、しがみついていると損をする場所」という言葉にある。これまでに何度かあった、彼らの行う突然の不可解な発言や言動は、実はその後に起こる事象に対する「あらかじめの言い訳」であるということが、今回の一件で確実なものとなってしまった。

今後もこの言葉の通りに実行するのであるならば、卒業自体に負のイメージを持たせないということがとりわけ重要であり、そうなると「辻加護娘。卒業 新ユニット結成」は至極妥当な措置の様な気もする。この二人の新ユニット結成は、私自身、何だか成功してしまいそうな気がしている訳だが、恐らくこれは特別なことではないのであろう。

卒業に負のイメージを持たさないということで得られる事務所側のメリットは計り知れない。
その中でも最大のメリットは、「事務所側が好きな時期に好きなだけ好きな人物を卒業させられる」ということであり、卒業を完全に事務所主導で行うことができるということ。「卒業は自分自身で決めました」といったような以前までのシチュエーションでは、膨れ上がった人数を調整するのには時間的にいささか無理があったのだから。

6期メンバーを娘。の中心に据え、娘。に対する既存のイメージからの脱却を考えた場合、一番ネックとなるのも今となっては4期メンバーである。新たなる娘。のイメージにシフトすることで、少しでもモーニング娘。自体を延命させようと目論んでいるのであるならば、この場合4期メンバーには早急に卒業してもらうことが必要となる。娘。内部の世代交代を成功させるためには、大々的な再構築が必要なのも事実。もちろん、これが原因で全てが崩壊するという可能性も十分にあるのだが。

こういったことからも、卒業というものを無条件で肯定するならば、現状を考えると「辻加護の卒業」というのがもっとも納得のいく卒業であることに違いない。衝撃的ではあったが、彼らが事前に起こした行動を考えれば納得できる部分は多々ある。ただしかし、一番の問題はやはり発表の時期なのだろう。
安倍なつみの卒業すら未だ行われていない現時点で発表をすることの目的とは一体なんなのであろうか。何故彼らはこんなにも気のはやった発表をしたのであろうか。

邪推をすれば、これは今後も卒業する人間が、しかもかなり近い時期に控えているがための、この時期の発表であるとどうしても思えてしまう。そう考えなければ、この時期の発表というのはあまりにも不可解であり解せない。安倍が卒業した後に発表しても、決して遅くはないはずなのだから。

彼らは今回の「4期メンバーの卒業」、そして前代未聞の「二人同時卒業」という禁断の大技を繰り出すことで、今後の卒業を非常にスムーズに行える状況を作り出した。この結果、矢口・飯田はもちろんのこと、石川・吉澤・藤本までもが卒業対象者となっている。その上、これからは複数人の同時卒業も可能としてしまったのだ。

仮にこの5人が娘。を卒業するとなると、娘。本体の人数が「さくら組・おとめ組」と同じ7人になるというのは、果たして単なる偶然なのであろうか。娘。の人数が多過ぎるというのは、今となっては誰もが思っていること。そして次第にそう思うようになったのは、娘。がさくらとおとめで分割して活動するようになってからなのだ。前述の如く、彼らの唐突な言動の全てが、その後に起こる措置の伏線を敷いているのだとしたら、これらはあながちウソとも言い切れない。「娘。の分割」も、あの当時では十分突然であり不可解なる措置であったのだから。

何の前触れもなく娘。を指して「いつまでもしがみついていると損をする場所」と唐突に言い放ち、卒業は娘。から必要のなくなった人間の「解雇」ではなく、あくまでも娘。にいなくてもやっていける人間、むしろ娘。にいることが逆にマイナスになってしまう人間の「ステップアップ」のための行為なのだと、彼らは卒業に対するイメージを無理矢理変換しているつもりなのだろうが、以前までのイメージとは対極に位置する「おめでとう。君達もやっと卒業だよ。」といったコメントを見て、一体誰がこの様な都合のいい「言い訳」に賛同するというのであろう。以前からの卒業をずっと見てきた人間にとっては尚のことだ。

『彼らにとって実に都合のいい措置』に対する、あらかじめの言い訳としての不可解なる言動は、恐らくこれからも続くのであろう。一体この後にはどんな「言い訳」を用意しているというのか。どちらにせよこれらは、我々にとっては歓迎できるようなものではない。

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