▲ [column] 高橋愛の娘。卒業 / 2004.11.15
6th アルバム「愛の第6感」先日、12月8日に発売となるモーニング娘。の通算6枚目のニューアルバム「愛の第6感」のジャケ写が発表された。一見何の変哲もない娘。の集合写真なのだが、実はこのジャケ写には、たった一つだけあまりにも不可解な疑問があり、それに気がついた瞬間、私自身大いなる違和感を抱くと同時に、ある疑念を持ってしまったのだった。

恐らく多くの人がすでに気が付いているのだと思うのだが、その違和感の原因とは、娘。メンバー個々の立ち位置である。そう、ここ最近は常にセンターを陣取っていたはずの高橋愛が、何故か一番左端の奥に立ち位置が移ってしまっているのだ。これを見て疑問を抱かないという方がよっぽどおかしな事である。しかし、何故高橋は突然左端に移ってしまったのか。

娘。の立ち位置は、全て明確な指示の下に成り立っている。シングル・アルバムのジャケ写はもちろんの事、他のアーティスト写真、記者会見での座り位置、さらに言うと、その記者会見会場に列をなして入場する際の入場順番ですら、全て明確に指示されているものであり、細部に至るまでそこには確かな狙いと確実なる意図がある。我々が思っている以上に、立ち位置や並びの順番というのはプロデュース上重要な要素なのだ。

となれば当然、高橋が今回突然左端に移動したのは、裏方の人間の「明確な狙い」と「確実なる意図」があるゆえの結果であり、たまたま今回だけ紺野にセンターポジションを譲っただけとは非常に考えにくい。しかも、よりにもよって一番左端の奥とは。当然このポジションは、全体の中でも一番「目立たない」ポジションであるわけで、もし仮に裏方の人間の「狙い・意図」がここにあるのだとしたら、「敢えて一番目立たないところに高橋を置いた」ということになる。あたかも目立ってしまう事が都合の悪い事であるかのように。

センターポジションから、何の前触れもなく突然左端の奥に移動する。実はこれと同じような事を、我々は以前どこかで見た。そう、安倍なつみである。

シャボン玉がリリースされる頃、アーティスト写真における安倍なつみの立ち位置が突然変更になった。それが今回と全く同じで、センターポジションから突如左端の奥へ。その後間もなくして、安倍なつみは娘。から卒業する事を表明。ゆえにこの場合は、「すでに裏では決定している卒業に向けて、あまり目立たなくさせる」事が目的で、安倍の立ち位置は、一番目立つであろうセンターポジションから、一番目立たないであろう左端奥のポジションへシフトされたと考える事ができると思う。

今回の場合も、これと全く同じであると仮定すれば、この突然の立ち位置の変更はすなわち、近い将来の高橋娘。卒業を示唆するものであると考えられるのだ。実はそう考えれば、7期メンオーディションでしつこいくらいに「エースを求める」とつんく♂が口にしている事にも、全て説明がつく。高橋をエースとして育てる事を、事務所ならびにつんく♂が放棄した結果の高橋卒業と、それに伴う新たなるエースの発掘。バラバラに存在していた点と点が見事に線で繋がった。あるいは石川の次の卒業者は、この高橋愛なのかもしれない。

問題はこの卒業が、「高橋自身のステップアップによるものなのかどうか」ということなのだと思う。最近の卒業に関してつんく♂らは、「娘。卒業は次へのステップアップ」などといった事を謳い、卒業に対する世間のイメージを変えようと躍起になっているように見受けられるのだが、これは実に都合のいい言い分に過ぎず、全ての卒業が全て「ステップアップ」とは到底考えにくい。中には「ソロで本当に仕事があるのか?」といった不安を抱いてしまうような卒業だって、確かに存在しているのだ。正直言って高橋娘。卒業という措置は、私にとってみたらまさにこの、「不安を抱いてしまう卒業」そのものに他ならない。

歌・ダンスとも、娘。の中では確実に1・2を争うであろう実力者であっても、タレントとしての他の能力は確実に娘。内でも劣っている高橋が、ソロで一人で活動する事自体がそもそも無理な話と思ってしまうのは、恐らく私だけではないはず。一人で「歌う」ことは十分に出来る。だが、ただ「歌を歌う」だけでは許されないのが今の音楽界であり、現状の彼女にはまだ、歌と踊りに重点的に専念できる場として、モーニング娘。は必要なのだと私は思う。トーク等のスキルはこれからじっくり身に付けたって遅くはないはずだし、恐らく、つんく♂ならびに事務所も、この事には気が付いているはずなのだ。にもかかわらず、高橋を娘。から卒業させる、その真の狙いとは一体なんなのか。

事務所にとって、高橋を娘。から卒業させる事で起こる最大のメリット。これを考えてみれば、実はその答えはただの一つしかなく、それは「働き口のない人間への救済措置」ということ。この事務所にははたけがいる、たいせーがいる、まことだっている。つんく♂以外のシャ乱Qメンバーには、自分達が作った曲を「歌ってくれる人間」がいなければ、残念ながら仕事がない。彼らは確実に仕事の場を待ち望んでいるわけだが、こういった状況には、しっかりと「歌う」ことができ、なおかつ「元モーニング娘。」といった肩書きを持つ高橋は打って付けなのだ。そのために、高橋をモーニング娘。から卒業させる。上述の事諸々を考えた結果、最も妥当な答えはこれなのだと、私はそう思っている。

色々な意味で高橋愛は第二の後藤真希になろうとしている。これが良いことなのか、悪いことなのか、私には判断はつかない。ただ、いずれにせよこの立ち位置の変更に対する答えは、近いうちに必ず明らかにされるのだと思う。「高橋愛モーニング娘。卒業」という発表をもって。

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