▲ [column] カラオケコンサートが浮き彫りにしたハロプロの現状 / 2005.1.8
ハロープロジェクトコンサートがカラオケコンサートと化している件について、肯定的な意見も否定的な意見もどちらもそれぞれあるようなのだが、「どうしてこのようなことが行われたのか?」といったことを考えると、これは、およそ肯定できるような状況にはないのだと私は思う。

なんの代わり映えもないセットリスト。いつも決まって歌われる過去のヒット曲。
今に始まったことではないけれど、ハロー関連のコンサートは、その公演数に比べて絶対的にオリジナルの持ち歌が少なく、まずは何よりもこれが一番の問題。そんな状況下で、すでにマンネリ化してしまっているハロコン自体に変化をつけようと思うならば、確かに既存の曲を違うメンバーで歌うといった、今回のようなカラオケコンサートにせざるを得ない。

既存の楽曲を違うメンバーで歌うといった行為と、それによって「変化」を起こそうといったその狙い。一見、前向きな措置のように思われるかもしれないのだが、これは決して前向きな措置とは言えず、言うなれば、苦労することなく楽に「見た目」だけを変えようといった魂胆が見え見えの、実に手抜きかつ後ろ向きな措置である。だからこそこれは、およそ肯定できるような状況ではないと私は思うのだ。

本来、コンサートのマンネリ化を改善する上でなさねばならない措置とは、セットリストに新たな楽曲を精力的に盛り込むといった事であり、至極単純な事。これこそが唯一の前向きな措置とも言える。ところが、こんな単純な事が出来ないその理由と言えば、膨れ上がったグループ・ユニットを、全てつんく♂一人で手掛けるといった無理矢理な状況を作ってしまっているからに他ならない。すでに、つんく♂一人で全てを手掛けるには、物理的に不可能な状況にまでなってしまっているにもかかわらず、これまでに乱発しているユニットに付け加え、今後も娘。からの卒業者のソロ活動等が始まってしまうのであるならば、オーバーワークと共に、ますますつんく♂はじり貧状態となり、より一層精彩を欠くことは目に見えている。

そんな行き詰まった状況下において、「ユニットが多すぎるし、それらユニット全てにあまねく行き渡るだけの楽曲提供など最早できるはずはない。」といった開き直りとも取れる行為。今回のハロコンのカラオケ化は、現状の問題に対するこういった彼らの開き直りと同時に、この様な劣悪な状況が存在していることをただただ表面化させただけに過ぎず、ここには、「面白いからいい。」「不愉快だからダメだ。」などといった、個人レベルの感情をはるかに超越した大きな問題が潜んでいるのだと私は思う。

今回の場合、「ハロコンはお祭りだから」といった都合のいい言い分の下、ハロコンだけが特別といった捉え方をし、「お祭りなんだし、面白かったからいい。」と肯定している人も多いのだとは思うのだが、一体どこにこのカラオケ化はハロコンだけの限定といった保証があるのだろうか。上述の問題は、ハロコンのみに当てはまる問題なのではなく、ハロー関連の全てのコンサートに当てはまる事。根底にある問題が解決されない限りは、これからも同様にカラオケ化が進むことは当然考えられる。そして、その影響が及ぶ範囲は、何もハロコンだけに限った事ではないのだ。

カラオケコンサートといった試みに対する、思った以上の肯定的な意見を目にすれば、味を占めた彼らが、今後も同様にカラオケを敢行してくることだって十分に考えられる。今回のコンサートに肯定的だった人達は、ハロコン以外のコンサでもカラオケ化が進んだ場合も、同様にして肯定する事が出来るのだろうか。この意見に対して首を縦に振るのはうそだ。私はそう思う。

結局のところ、この短期間でえらく膨れ上がってしまったハロープロジェクトは、最早つんく♂一人でやりくり出来る様な状況ではなくなってしまったのだ。最近でこそ、楽曲製作はつんく♂以外で手掛けているパターンも目にするようにはなったが、つんく♂が完全にノータッチといったものは現状では皆無である。こういった状況をいつまでも続けていれば、問題は解決されるどころか、ますます悪化される一方。

彼らが「前向きに」これらの問題を解決しようと思っているならば、まずは、この膨れ上がったハロープロジェクトに対する大々的なテコ入れをせざるを得ないわけであり、結果的にハロープロジェクトをスマート化させなければならなくなる。つんく♂が、彼のオフィシャルサイトにて、「すでにみんながびっくりするような企画をいっぱい計画たててありますからね〜。」とコメントしていたことと、上述の如くこれらの問題を考えてみると、今年は「娘。メンバーの、娘。からの卒業」といった規模なのではなく、「各グループ、各ソロ活動組の、ハロプロからの卒業」といった、更に大きな規模の改変が行われそうな気がしてならない。

間違いなく「前向き」な措置こそがこれなのだろうが、「各グループ、各ソロ活動組の、ハロプロからの卒業」を私自身肯定できるのかと言われれば、どうやら肯定できそうにはないみたいだ。ここにきて、自分の主張と感情とに大きな矛盾が起こってしまった。

八方塞でお手上げの状態か。現状の問題を解決する上で、一体何をしたら全てハッピーエンドとなるのだろうか…。残念ながら、今の私にはまだ、その答えは出せないみたいだ。

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